去年、日本はブラジルに勝った。

2025年10月14日、東京スタジアム。0-2から後半3点を奪い、3-2で大逆転。通算14回目の対戦で、ついにサムライブルーが「サッカー王国」に初めて土をつけた試合は、世界中のサッカーメディアが驚きをもって伝えました。

そしていま、W杯2026グループステージを終えようとしている日本代表のラウンド32の対戦相手として、ブラジルが最有力候補として浮上しています。親善試合とはいえ勝利した相手と、今度はW杯という最高の舞台で激突する可能性がある——これは本当に起きるのでしょうか。

日本vsブラジルが実現する条件

まず、組み合わせを整理します。

グループFの1位はグループCの2位と、グループFの2位はグループCの1位とラウンド32で対戦します。この組み合わせの仕組みについては、ラウンド32の仕組みと決勝トーナメントの構造で詳しく解説しています。

グループCの現在の状況は、ブラジルが勝ち点4で首位、モロッコが同じく勝ち点4で2位、スコットランドが勝ち点3で3位です。最終節(6月25日)ではスコットランドvsブラジル、モロッコvsハイチが同時に行われます。

つまり日本vsブラジルの実現パターンは以下の通りです。

日本の順位 ブラジルの順位 結果
F組2位 C組1位 現状最有力
F組1位 C組2位 ブラジルが2位に滑った場合のみ
F組1位 C組1位 この場合は対戦しない

現状でいえば、日本がスウェーデン戦で引き分けてF組2位通過&ブラジルが首位通過というシナリオが最も起こりやすい組み合わせです。

日本のスウェーデン戦の突破条件や1位・2位それぞれのシナリオは、グループFの展望と突破条件グループステージ突破条件の基本ルールに整理しています。

なお日本が万が一スウェーデン戦で敗れF組3位になった場合は、他グループ3位との比較で上位8チームに入れば突破できますが、この場合はC組ではなくA・B・D・E・Iグループのいずれかの1位との対戦となります。3位通過の仕組みについてはワールドカップ 3位通過とは何かをご覧ください。

日本がラウンド32に進出した場合の試合日程:

  • F組2位通過の場合:6月30日(火)日本時間午前2:00、ヒューストン・スタジアム
  • F組1位通過の場合:6月30日(火)日本時間午前10:00、モンテレイ・スタジアム

ブラジルはいまどんなチームか

ブラジルを率いるのは、カルロ・アンチェロッティ監督です。イタリア人指揮官がW杯でセレソンを率いるのは史上初めて。レアル・マドリードで3度CLを制覇した名将のもと、攻撃的なチームを構築しています。

メンバーにはGKアリソン(リヴァプール)、DFマルキーニョス(パリSG)、MFカゼミーロ(マンチェスター・ユナイテッド)、FWヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)、ラフィーニャ(バルセロナ)、マテウス・クーニャ(マンチェスター・ユナイテッド)、ネイマール(サントス)らが名を連ねています。

今大会ここまでのグループ成績は、モロッコと1-1で引き分け、ハイチに3-0で快勝。勝ち点4でグループC首位に立っています。ブラジルvsハイチ戦の詳細はブラジル vs ハイチ 試合レポートにまとめています。

注目選手:ヴィニシウス・ジュニオール

レアル・マドリードが誇る世界屈指のアタッカー。左サイドを縦横無尽に駆け抜ける圧倒的なドリブルと決定力は現役トップクラスです。2002年以来悲願の優勝を目指すブラジルにとって、攻撃の中心として欠かせない存在です。

注目選手:マテウス・クーニャ

ハイチ戦で2ゴールを記録した右ウイング。今大会のブラジルで最も勢いのある選手の一人です。スピードと得点感覚を兼ね備えており、日本の左サイド守備の対応が焦点になります。

注目選手:ネイマール

4度目のW杯に挑んでいるブラジルのレジェンド。グループステージ初戦は欠場でしたが、コンディション次第で出場機会が増える見通しです。W杯の舞台でネイマールが輝いたとき、ブラジルは最も危険なチームになります。

日本vsブラジルの歴史:14試合で1勝

日本代表のブラジル戦通算成績(国際Aマッチ)は、1989年の初対戦から2025年まで14試合で1勝2分11敗。その唯一の勝利が、2025年10月の親善試合(3-2)です。

過去の対戦スコアを並べると壮観です:

0-1(1989)、0-3(1995)、1-5(1995)、0-3(1997)、0-2(1999)、0-0(2001)、2-2(2005)、1-4(2006)、0-4(2012)、0-4(2014)、1-3(2017)、0-1(2022)——そして 3-2(2025)

ほとんどの試合で大差をつけられ続けてきた歴史。そこに突然刻まれた「逆転勝利」という1行が、今大会の意味を変えます。

なお国際Aマッチ以外では、1996年アトランタ五輪で1-0の勝利があります。これが「マイアミの奇跡」と呼ばれ、日本サッカー史に刻まれた伝説の一戦です。

2025年の親善試合から読み取れること

前半0-2の劣勢から後半3点を奪っての逆転。21世紀に入ってブラジルから3点以上を奪ったのは、2014年W杯準決勝のドイツ(7点)、同年3位決定戦のオランダ(3点)、2025年3月のアルゼンチン(3点)の3チームだけです。日本はその列に加わりました。

さらに言えば、アンチェロッティ体制になった2025年6月以降、ブラジルは5試合で1失点しかしていなかった。日本はそのチームから初めて複数得点したチームでもあります。

堂安律は「殴り合いで殴り勝てた」と表現しました。このチームには、世界のトップを真正面から打ち破る力が確かに備わっています。

ただし重要な補足があります。あの試合はW杯前年の親善試合であり、コンディションや戦術優先度が本番と異なる点は考慮が必要です。森保監督も「親善試合の結果がW杯本番に直結するわけではない」という趣旨のコメントを残しています。それでも「一度勝っている」という事実が選手たちの自信の源になっていることは確かです。

日本がブラジルに勝つために必要なこと

① 「カタール戦術」の再現

あの逆転劇では、森保監督が前半終了時点でマンツーマン守備への切り替えを決断しました。ドイツ戦・スペイン戦と同じ構造の試合で、選手たちも「カタールW杯を思い出した」と口を揃えています。

ブラジル相手に前から押し込もうとすると個の力で剥がされます。しかし前半を0-0か最小失点で耐え、後半の出力変換でひっくり返すというパターンは、すでに実証済みです。

また今大会のチュニジア戦でも、日本は3-4-2-1の堅守速攻ベースのシステムで4-0の快勝を収めました。チュニジア戦の見どころとスウェーデン戦プレビューでも解説していますが、「勝てる形」がこの大会で明確になってきています。

② ヴィニシウスへの個人対策

現在の日本守備陣にとって最大の脅威は左ウイングのヴィニシウスです。対人の強い冨安健洋がどのポジションで対応するか、右WBとのダブルチームを組むかが焦点になります。

ブラジル戦のような試合では、スタメンとフォーメーションの見方を事前に把握しておくと、試合開始直後の守備配置の意図が読みやすくなります。

③ セットプレーで上回る

2025年の逆転ゴールのひとつはCKから上田綺世のヘディングでした。ブラジルは南米予選で6敗を喫しており、セットプレー守備に一定の課題を抱えています。日本のコーナーキック・フリーキックの精度と、上田をはじめとした空中戦の強さは有効な武器になります。

④ ライブの流れを読んで動く

ブラジル戦は前半と後半でまったく別の試合になる可能性があります。試合中にオッズがどう動くか、どの時間帯に試合の流れが変わるかを追いかけたい方は、ライブ予想の基本的な見方を参考にしてみてください。またオッズの基本的な読み方と合わせて確認すると、試合展開の変化がより立体的に見えます。

⑤ 延長・PKへの心の準備

もし90分で決まらない場合は延長戦、それでも決まらなければPK戦になります。日本代表はW杯のPK戦で過去2度(2010年・2022年)敗れており、この展開には特別な注意が必要です。延長・PK戦のルールについては延長戦とPK戦の仕組みにまとめています。

今週の流れを踏まえて

今週はW杯グループステージ最終節を含む試合が続きます。日本のスウェーデン戦(6/26)に向けた最新の見どころはスウェーデン戦の見どころと予想で整理しています。また今週のグループCを含む全体的な注目カード情報はW杯 Week 2 完全ガイドにまとめています。

編集部の率直な見方

正直に言えば、ブラジルは紙の上では日本より圧倒的に強いです。

個の能力、物理的強度、経験——どれをとってもブラジルに分があります。ヴィニシウスとラフィーニャの両翼を抑え続けることは、90分通して容易ではありません。

それでも「日本に勝機がゼロか」といえば、そうではありません。

2022年カタール大会のドイツ戦もスペイン戦も、試合前の予想では日本は大きなアンダードッグでした。しかし実際には「守備ブロック+後半の圧力変換」という戦略で、2つの優勝経験国を倒しました。2025年の親善試合でも同じ構造で勝利した。

ブラジルは強い。ただ「守り切って後半に変える」という手札が通じる相手であることも、すでに証明されています。三笘薫・久保建英・遠藤航という主力が不在のなか、「スカウティングされていない日本」という側面も、逆に武器になりえます。

よくある質問(FAQ)

Q:日本vsブラジルのラウンド32はいつ、どこで行われますか?
A:日本がF組2位通過の場合、日本時間2026年6月30日(火)午前2:00、ヒューストン・スタジアムでの開催が予定されています。ラウンド32全体の日程と仕組みはラウンド32解説ページで確認できます。

Q:日本はブラジルに今まで勝ったことがありますか?
A:国際Aマッチでは2025年10月の親善試合(3-2)が史上初の勝利です。それ以前は13試合で2分11敗でした。

Q:ブラジルはグループステージをどんな状態で終えそうですか?
A:第2節終了時点で勝ち点4の首位です。最終節ではスコットランドと対戦します。引き分け以上でC組突破が確定します。

Q:日本がF組1位で抜けた場合、ブラジルとは当たりませんか?
A:F組1位はグループC2位(現在モロッコ)と対戦します。ただし最終節の結果次第でブラジルが2位に滑るケースもあり、日本がF組1位でもブラジルと当たる可能性はゼロではありません。

Q:ブラジル戦でVAR(ビデオ判定)はどう機能しますか?
A:W杯2026ではVARのルールに変更があります。詳しくはVARとは何か・今大会での変更点をご覧ください。

Q:延長・PK戦になった場合のルールは?
A:90分で決着がつかない場合は15分ハーフの延長戦、それでも決まらなければPK戦になります。詳細は延長戦とPK戦の仕組みを解説した記事に整理しています。

まとめ

日本代表がW杯2026ラウンド32でブラジルと対戦する可能性は、現時点で非常に高い状況です。F組2位通過&C組1位(現在ブラジル)という図式がそのまま実現しやすい構図にあります。

「一度勝った相手」と「世界最高峰の舞台」で再び戦う——それ自体が、すでに日本サッカー史に残る一戦の予感を帯びています。スウェーデン戦の結果を待ちながら、その先のブラジル戦という可能性を頭の片隅に置いて観戦するのも、今大会の楽しみ方の一つです。

トラストダイスではラウンド32の組み合わせと日本の対戦相手情報も随時更新しています。

2025年の東京スタジアムで起きた逆転劇を見ていた人も、W杯本番のヒューストンで同じ光景が再現されると思っていた人はほとんどいなかったはずです。でもいま、それは夢物語ではなくなっています。あなたはどちらが勝つと思いますか?